74%の女性が、月経前・月経中にカラダやココロの不調「月経全随伴症状」を抱えています。
まずは、自分のカラダとココロに向き合い、「この症状は病気なんだ」と気づくことから始めましょう。
毎月繰り返すことだから、不調の原因を知るだけでも、気持ちがふわりと軽くなるはずです。
月経随伴症状とは
◎PMS(月経前症候群)…月経開始の3~10日前から始まる精神的・身体的症状で、月経開始とともに減退・消失します。70%ほどの女性が何らかの症状を持ち、6.5%の日本人女性が社会生活に影響がある中等症異常との報告があり、治療対象となります。
◎PMDD(月経前不快気分障害)…発症はPMSと同じですが、PMSよりも精神症状が強く現れます。1.2%の日本人女性がPMDDであるとの報告があり、治療対象となります。
◎月経困難症 …月経期間中に、月経に随伴して起こるさまざまな病的症状をいいます。(加腹痛・腰痛・腹部膨満感・嘔気・頭痛・疲労・脱力感・食欲不振・いらいら・下痢・憂鬱など)
PMS・PMDDについて
◎PMS(月経前症候群)とは…PreMenstrual Syndromeの略語です。
いらいら・のぼせ・下腹部膨満感・下腹痛・腰痛・怒りっぽくなる・頭痛・乳房痛・落ち着きがない・憂鬱、の順に多いと言われています。
PMSの原因はいろいろな説がありますが、まだ解明されていません。
通常、ホルモン異常はなく、排卵を抑制するとPMSが発症しないことが確認されていることから、黄体ホルモンが誘因であるといわれています。また、別の研究では、うつ状態を誘導する受容体の黄体ホルモンに対する感受性が高いために発症すると報告されています。
◎PMDD(月経前不快気分障害)とは…PreMenstrual Dysphoric Disorderの略語です。
月経周期における発症時期はPMSに同じですが、焦燥感・不安感・脅迫感・自己喪失感・涙もろさなど精神症状が強く、学業・仕事・家庭生活上、あるいは人間関係上、日常生活に支障をきたすものをいいます。
PMDDはPMSの重症例であり、情動関係の症状が前面に出た例ともいえるでしょう。
PMS・PMDDの治療
◎カウンセリング(認知療法)…基礎体温・症状日記をつけて疾患の理解と頻度、発症時期、重症度の位置づけを認識(認知療法)
◎生活指導
◆規則正しい生活・適切な睡眠など、健康的なライフスタイルを心がける。
◆定期的な運動をする。
◆リラクゼーションなど、ストレスマネジメントを取り入れる。
◆たばこの制限。
◆食事の面では、コーヒーや糖質、アルコール類の減量などを心がける。また、野菜や果物を積極的に摂取するようにする。
◆症状が軽い場合には、サプリメントやハーブなどを試してみる。
◆仕事の軽減、責任のあることから距離を置く。
◎薬物療法
◆身体の諸症状~※EP配合剤(E:卵胞ホルモン と P:黄体ホルモン)
◆腹痛・頭痛~鎮痛剤
◆情緒不安定~精神安定剤
◆うつ状態~SSRI(抗うつ薬)
◆不眠~睡眠導入剤
◆むくみ~利尿剤・漢方薬
◆吐き気~吐き気止め
◆下痢・便秘~整腸剤
◆肌荒れ・にきび~ビタミン剤・ぬり薬
◆その他~漢方薬・ハーブ等
※EP配合剤…エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンを配合した飲み薬で、目的により、避妊を適応にもつピル(OC)と月経困難症に保健適応のある月経困難症治療剤(LEP)という区別がされています。服用中は排卵を休ませることで子宮内膜を薄い状態にするため、経血量を減らすだけではなく、子宮内膜での痛み物質(プロスタグランジン等)の産生を抑制します。排卵を休ませることで月経随伴症状であるPMS・PMDDの症状も起きにくくなります。
まずはPMS・PMDDを知ること
PMS自体がまだあまり知られていない中、PMSとPMDDの症状や違いが明確になってきたのは、ごく最近のこと。
つらい症状に苦しみながら『病気でないからガマンすべき』
『精神的症状だから心療内科や精神科へ行くべき』など、
周囲の理解を得られない状況にも苦しまれている方は多いようです。
PMS・PMDDは治療の対象となる疾患で、ホルモン剤や抗うつ剤などを含め、さまざまな治療法があります。
原因には月経周期における女性ホルモンの変動が関与している可能性がありますので、当院で月経に関連するトラブルのひとつとして相談してみて下さい。